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【行動経済学】人間の性質を知って活かす【アクションプラン付き】(前編)
- 「目標を立てても行動できない…」
- 「望んでないけどいつも人に流されてしまう…」
- 「つい感情的になってしまう…」
- 目標達成の行動をとるコツ
- どうせ流されるなら上手く流されよう
- 感情の特徴を知り支配から逃れよう
✔️ 紹介本
📕 お金と感情と意思決定の白熱教室: 楽しい行動経済学
ダン・アリエリー 2014
デューク大学教授。イスラエル系アメリカ人で心理学と行動経済学の教授。
1 目標達成の行動をとるコツ
あなたは自分の直感が優れていると思いますか?
経験的に「自分の直感は正しかった」と思うことはありますが、
必ずしも、直感が正しいとは限りません。
たとえば、錯覚を引き起こす画像やトリックアートがあります。
これは誰が見ても同じように見間違えます。
頭で錯覚だと理解していても、錯覚は引き起こされます。
一度直感や視覚にとらわれてしまうと、先入観を持ったまま、
誤ったまま、情報判断や意思決定を行ってしまうのです。
英語学習やダイエットなど目標、目的、願望を持っていても、
日々の「行動」に結びつかないことがあります。
行動に結びつかなくては、目標を達成できません。
頭では「やらなくては」と決めていても、
結果的に「やらない」という不合理な行動を選択してしまうので
いつまでも目標を達成できません。
実際には、目標や願望が、行動に及ぼす影響はほとんどないそうです。
目標や願望を持つだけではダメなのです。
それでは、何が人間の行動に影響を与えているのか?
行動は「環境」に大きく影響を受けます。
特に環境の「初期設定(defaults)」が行動に決定的役割を果たしています。
デフォルトは、一番楽な選択肢であり、オススメとみなされます。
人間はデフォルトの選択肢に従うのです。
選択肢が複雑で面倒になる程、デフォルトの影響は強くなります。
つまり、デフォルトを変えることが、行動が変わります。
どうやってデフォルトを変えるのか?
小さい部分にも目を向け、面倒だと思われる部分を取り除くことが有効です。
また、仕組みや情報の関係性を調べます。
本来とるべき行動と実際の行動とのギャップ、その原因をよく調べます。
関係性が分かったら、環境に小さな変化を加え、行動の変化を観察します。
・男性用トイレを清潔な状態に保つには、ハエの絵柄(標的)を便器に描くことが有効です。
(イスラエルでみたことがあります。)
・肥満を防止のためには、普段使うお皿を小さくすることが有効です(人は胃袋で食べた量を判断できず、目で量を判断しています)。
★環境設定のアクションプラン
もし勉強時間を増やしたいなら、どうすればいいでしょうか?
妨げとなるテレビやゲームを部屋から追い出し、代わりに本やPCを手近なところに配置してみよう。
その結果、勉強時間はどのように変化したかを観察しよう。
2 どうせ流されるなら上手く流されよう
通販CMを想像してみてください。
以下のどちらが有効な宣伝文句となるでしょうか?
・「オペレーターがお待ちしています。お電話してください」
・「電話がつながらないときは、おかけ直しください」
効果的な宣伝文句は2番目です。
なぜでしょうか?
人間は社会的証明(social proof)を得ようとする性質があります。
社会的証明とは、自分の意見の妥当性を証明することです。
その過程で「あの人も私と同じ意見だから、私の意見は正しい」ということで、
結果的に、他人の意見に自分が同調してしまいます。
(Amazonで商品を購入するとき、星の数やレビュー数を気にしてしまいます。)
さて、先ほどの通販CMの2番目の宣伝文句では、
ひっきりなしに、他の人たちから電話がかかっている印象が伝わるのではないでしょうか。
それによって、社会的証明が発動し、
「みんなが電話しているのだから素晴らしい商品に違いない。私も急いで注文しなくては」となります。
行列のできるお店も同じですね。
「多くの人が行列している店は美味しいに違いない、よし、自分も並ぼう」となるわけです。
人間は、本能的に他の人がやっている行動は正しいはずと思い込んでしまうのです。
しかし、この同調。恐ろしい一面があります。
同調には、合理的な同調(物知りな他人に従う)と不合理な同調(無知な他人に合わせてしまう)があります。
特に後者には注意が必要です。
ジンバルドーのスタンフォード監獄実験では、
看守役と受刑役に分けた被験者を刑務所環境で長時間過ごさせた結果、わずか2日で人々が虐待を始めました。
実際のアブグレイブ刑務所虐待事件では米兵によるイラク人収容者虐待が問題となりました。
これらは、社会規範が悪い方に振れ、人々が同調した結果起こった群衆行動(mob behavior)です。
最近社会問題となっているインターネット上の誹謗中傷の書き込みも、同じ構造です。
さらに、インターネットの場合は匿名性(anonymity)が加味されより好き勝手に振る舞うことになっています。
それでは、社会的証明、人に流される性質を使って
ホテルのタオルの再利用を上げる方法を考えてみましょう。
「他の人がどうしているのか」という社会規範(social norms)を示すことができれば、人はそちらに流されます。
人は、特に自分と共通点がある集団に魅力を感じます。
たとえば、タオル札に「このお部屋に泊まったお客様の75%が再利用しました」という表示にすると再利用に効果があります。
さらに、「社会貢献」という視点を入れて再利用を促してみましょう。
その際は、まず自分たち(この場合はホテル側)が既に取り組んでいる姿勢を打ち出す必要があります。
「当ホテルは環境保護のために既に寄付しました。あなたも協力していただけるなら、タオルを再利用してください」
このようにすると効果が上がるようになります。
★社会的証明のアクションプラン
共通点や共感できるコミュニティがあれば、生産的な同調ができるはず。
尊敬できる人、仕事ができる人、裕福な人、自分と同じ趣味で活躍する人たちはいませんか?
そういった人が集まるコミュニティがあれば参加してみよう。なければ探してみよう。
3 感情の特徴を知り支配から逃れよう
感情は、
・意思決定を左右します。
・合理的な思考システムより上に立って直ちに命令を下します。
・周囲の環境によって動かされます。
・長続きしません。不幸な感情も幸せの感情もいずれは慣れて薄れてしまいます。
ほかにもには以下の特徴があります。
・物事や相手と自分との距離感が遠ければ、合理的に考えることができますが、
自分にとって身近だと捉えた場合、感情が優先し合理的思考を乗っ取ります。
9・11同時多発テロの後、交通死亡事故の件数が増えました。
感情的になった人々が、統計的に安全な飛行機より、車を交通手段に選ぶようになったからです。
統計的にはテロで死ぬ確率は交通事故よりはるかに低いにもかかわらずです。
・問題が大きくなればなるほど、関心や感情は小さくなってしまいます。
寄附金は、被災者や患者が多い事案よりも、少ない事案の方が多くなるという皮肉な事実があります。
ジェノサイドなど重大事の関心が低いことの背景です。
・物事を統計的に数字の問題ととらえた途端、感情のスイッチが切れます。
一人の命だったら気にかけるのに、人数が増えた途端、その命に対する人々の関心は一気に低下しました。
現実は価値の総量は一人の場合が最も多く、二人、三人と増えるにつれ減っていきます。
感情に訴える方法は、統計を使う方法と共存でないのです。
なお、人間は感情を自在に選べませんが、自分を置くべき環境は選ぶことができます。
★感情のアクションプラン
感情は、短期的に、合理的思考を乗っ取るほど強い力を持っています。
周囲の環境によって動かされるので、望ましくない感情が生じるなら環境を変えること有効です。
また、統計的な数字の問題と捉えると、感情のスイッチが切れる特徴があるので冷静な判断をするのに有効です。
あした1日のいい気分、いやな気分を観察してみよう。その感情のときはどういった行動をしているのかも観察してみよう。
いい気分の時間を増やし、いやな気分の時間を減らす方法を考えてみよう。
次回は、コントロール、お金、モチベーションについて学びます。